訴えの提起請求書
令和6年8月9日

〒150-0036
東京都渋谷区南平台町15番1号
株式会社エスポア
代表取締役 矢作和幸 殿

株主 JPIW合同会社代理人

前略 

当職らは、JPIW合同会社(以下、「当社」といいます。)の代理人として、以下のとおりご連絡いたします。

当社は、株式会社エスポア(以下、「貴社」といいます。)の株式を、6カ月以上前から、合計65,500株保有している株主であるところ、当社は、貴社に対し、以下の訴えを提起することを請求いたします。

なお、個別株主通知申出受付票および個別株主通知書については、本書と同内容の書面とともに追って郵送をさせていただきます。

1 請求の趣旨

  監査役日向健太、監査役宮本武明及び監査役中上川友哉は、株式会社エスポアに対し、連帯して、4億円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え

2 請求を特定するために必要な事実

  貴社の代表取締役である矢作和幸氏、取締役である額田正道氏、篠塚勝氏、濱田光貴氏及び行木明宏氏は、以下に詳述するとおり、貴社が行っていた太陽光発電物件の開発・販売事業に関し、貴社がサステナブルホールディングス株式会社から取得する太陽光発電物件を、株式会社海帆へ販売する契約交渉が進んでいたにもかかわらず、合理的理由なくこれを反故にし、もって株式会社海帆への上記物件販売により得られるはずであった利益(4億円を下らない。)を逸失させました。そして、貴社の監査役である日向健太氏、監査役宮本武明氏及び監査役中上川友哉氏は、上記行為を適切に監査しませんでした(是正すべく意見を述べるなど必要な行為をしなかったことも含みます。)。

  すなわち、令和6年2月期決算短信によれば、貴社は、太陽光発電物件の開発・販売事業を行っており、令和5年11月には、実際に、サステナブルホールディングス株式会社より、9区画の物件を取得する契約を締結しています。

そして、土地付き太陽光発電物件の販売先として、太陽光発電物件の取得・整備を進めていた株式会社海帆(ただし、実際に取得するのは同社の子会社)が候補となりましたが、その時点において同社は、令和7年3月末までの間に約200区画の物件の取得を計画していました。

  株式会社海帆は、上記物件の取得を貴社から行うことに応じ、貴社との間において、取得に向けた交渉を進め、実際に、株式会社海帆と貴社とは、上記物件に関する取引の先駆として、一部物件の譲渡についての契約交渉のみならず、証券取引所に対する事前説明も行っていました(株式会社海帆側の事情で契約締結が取り止めになることは想定されない段階に至っておりました。)。

  また、上記契約は、貴社と株式会社海帆との間の業務提携の一環として進められていたところ、業務提携については、上記契約のみならず、株式会社海帆の社外取締役である上田真由美氏による貴社における社外取締役ないし顧問の就任についても、貴社の取締役会で審議される段階になっておりました。

  しかしながら、矢作和幸氏は、速やかな契約締結等が可能な状況であったにもかかわらず、何ら合理的な理由なく、突如として、後記計算のとおり多大な利益が得られるはずであった、上記契約の締結及び上田真由美氏による貴社の社外取締役ないし顧問の就任を含めた業務提携を取りやめることとしました。

この点に関し、矢作和幸氏は、株式会社海帆に対し、同取引が、当社の紹介によるものであるため、進めたくないなどと説明したとのことですが、いずれにせよ、同取引を反故にする合理的理由とはなりえません。

貴社取締役である額田正道氏、篠塚勝氏、濱田光貴氏及び行木明宏氏についても、矢作和幸氏が何ら合理的な理由なく上記契約の締結及び上田真由美氏による貴社の社外取締役ないし顧問の就任を含めた業務提携を取りやめることとしたことにつき、適切な協議ないし監視を行わず、取締役会において上記取りやめを是とする決議がなされています。

  矢作和幸氏が取引を反故にした上記行為は、会社法第330条、民法第644条の善管注意義務及び会社法第355条の忠実義務に違反するものであるため、矢作和幸氏は、貴社に対し、会社法第423条第1項に基づく損害賠償責任を負っています。

  貴社取締役である額田正道氏、篠塚勝氏、濱田光貴氏及び行木明宏氏についても、矢作和幸氏の上記行為について適切な監視・是正等を行っていないことから、同様に、会社法第330条、民法第644条の善管注意義務及び会社法第355条の忠実義務に違反するものであり、貴社に対し、会社法第423条第1項に基づく損害賠償責任を負っています。

  上記に加えて、監査役日向健太氏、監査役宮本武明氏及び監査役中上川友哉氏についても、上記各取締役による義務違反行為を適切に監査しなかった(是正すべく意見を述べるなど必要な行為をしなかったことも含みます。)点につき、貴社に対する会社法第330条、民法第644条の善管注意義務違反が認められるため、会社法第423条第1項に基づく損害賠償責任を負っています。

  そして、同取引における太陽光発電設備の1区画当たり発注単価は、1500万円~1800万円であり、貴社が得られる利益は1区画あたり約200万円であるため、約200区画が予定されていた上記取引により貴社が得られるはずであった利益は、4億円を下りません。

  したがって、同額が貴社の被った損害額となります。

  よって、貴社の株主である当社は、会社法第847条第1項に基づき、貴社が監査役日向健太氏、監査役宮本武明氏及び監査役中上川友哉氏に対し、上記損害金及びこれに対する遅延損害金について、その責任を追及する訴えを提起されたく請求いたします。

  なお、貴社の取締役全員は、上記のとおり、会社法第330条、民法第644条の善管注意義務及び会社法第355条の忠実義務に違反するものであるため、貴社の監査役である日向健太氏、宮本武明氏及び、中上川友哉氏に対し、令和6年7月26日付で別途書面により提訴請求を行っていることを付言いたします。

草々